「人の役に立ちたい」と思って選んだ仕事なのに、体が先に限界を迎えてしまった——そんな経験はありませんか?
夜勤が明けてもそのまま日勤が始まる。有給を申請しても「人がいないから」と却下され続ける。人が辞めるほど自分の負担が増し、また人が辞めていく。この記事はそんな方に向けて書いています。
登場人物紹介
Hさん(仮名)34歳・地方在住・介護老人施設勤務 「祖父の介護をきっかけに福祉の世界に入りたいと思った」と話す、介護福祉士の資格を持つHさん。地元の特別養護老人ホームに28歳で就職し、6年間勤務した。
介護職の夜勤明け連続勤務は違法?実態と労働基準法を解説
Hさんの勤務先の施設は、慢性的な人手不足だった。
夜勤は16時間勤務。翌朝8時に夜勤が明けても、日勤スタッフが足りない日はそのまま午後まで残ることが「当然」とされていた。
実質20時間以上の連続勤務が、月に2〜3回は発生していた。
夜勤明けで入浴介助に入るのは珍しくなかった。
身体介助は体力がいる。でも断れる空気じゃなかった。
そんな日の帰り道、Hさんは何度か自転車ごと倒れそうになった。足がもつれ、信号の色が一瞬わからなくなる。それでも翌日また出勤した。
給料は月手取り約22万円。月の残業は平均65時間を超えていたが、施設の計算では「みなし残業30時間」として固定されており、超過分は支払われなかった。
介護職で有給が取れない理由|有給が消えた悪循環の構造
Hさんが入職してから一度も有給を取れた年がなかった。
申請しても『その日は人が少ないから』と言われる。
じゃあいつなら取れますか?って聞いても、答えが返ってこない。
有給休暇は年間20日付与されていたが、年度末になるとすべて消滅した。
6年間で消えた有給の合計は120日以上。それだけ休めるはずの日が、ただ消えていった。
一方、退職者は年間を通じて絶えなかった。入職から2年で10人以上が辞め、そのたびに残ったスタッフの担当利用者数が増えた。
辞めた人の穴を埋めるために自分が残る。でも自分も限界になって辞めたら、また誰かが穴を埋めるのだろう。
健康診断で異常が出るまで気づけなかった|介護過重労働のリアル
限界を超えたのは、6年目の秋だった。
定期健康診断で、血圧と血糖値の異常を指摘された。医師から「このままの生活を続けると危険です」と言われた。35歳にもなっていないのに、と思った。
ー辞めたい
先輩に言えば、きっと「人手不足」を理由にした説教が始まる。
同僚たちが同じ言葉で引き止められ、死んだ魚のような目で働き続けている姿を、何度も見てきた。
結局、自分も同じだ。
組織の都合で使い潰される、ただの駒のひとつに過ぎない。
「もう、戦う気力すら残っていない」
その夜、重い体を引きずるようにベッドに倒れ込んだ。
ぼんやりと天井を見つめていても、頭の中では同じ言葉がぐるぐると回り続ける。
限界を知らせるかのように、手がわずかに震えた。
スマホを開き、気づけば「退職代行」と検索していた。
青白い画面の光が、暗闇の中で、唯一の出口のように見えた。
退職代行で介護施設を辞めた結果どうなったか|手続きは1日で完了した
退職代行に依頼した翌日、施設への連絡はすべてサービスが行った。
Hさんは一度も上司と話すことなく、退職の意思が施設に伝わった。
もっと早く使えばよかった。あんなに悩んでいたのに、手続き自体は一日で終わった。
その後、3ヶ月の療養を経て転職活動を開始。「夜勤なし・有給が取れる」を絶対条件にした。デイサービス系の事業所に転職し、月給は23万円とほぼ変わらなかったが、残業はほぼゼロ。初めて有給を使って休んだ日、なにをしていいかわからなくて、とりあえず映画を観た。
ー自分の時間ってこういうことか
限界なら、逃げていい
「利用者さんのために」という気持ちは本物です。でも、あなたが壊れてしまっては、誰も守れません。
夜勤明けの連続勤務も、有給が取れない職場も、違法の可能性があります。長年消えていった有給分は、請求できるケースもあります。「仕方ない」と諦める前に、一度調べてみてください。
限界なら、逃げていい。それは逃げじゃない。戦略的撤退です。
介護職は人手不足なので、あなたが辞めても必ず次の人が来ます。でもあなたの体は、一つしかありません。今日の一歩が、あなたの人生を変える第一歩になります。動けるうちに、環境を変えてください。壊れてからでは遅いです。
同じ状況で悩んでいる方へ
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心の限界を感じているあなたへ
一人で悩まず、相談してみませんか?深刻な状態にある方は、まず医療機関や相談窓口にご相談ください。


